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奇妙な電話 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその7】

 電話が鳴ったので取って、もしもしと話す。いつものようにこちらの名前は伝えない。
 すると、相手は上品そうな中高年女性の声で「宮村さんですか?」という。
 いいえ違いますと答えたら、「宮村さんじゃないんですか?」と再び聞かれる。
 再度、違いますよと答えると、「あのー、奥さんいらっしゃいますか?」という。
 少し怒り気味に、違いますよ、と言うと、相手は無言になった。
 それで、もしもし?と声をかけたが返事はなく、ややあって無言のまま切られてしまった。
 思わず受話器を叩きつける。

 怒りが収まって、今の電話はいったい何だったのかと疑問に思う。単なる間違い電話なら、こちらが宮村さんじゃないと分かったのに、奥さんを出すよう求めるのは妙だ。ということは、これは間違い電話ではなく、主婦向けの何かの勧誘だったのかと考えられる。しかし、こちらは間違ってかかってきたことを理解しているから、奥さんがいたとしても替わるわけがない。間違いであろうと勧誘であろうと、意味不明であることに変わりはないのである。
 間違い電話だとしたら、奥さんを電話口に出したくないために、宮村ではないと私が嘘をついていると相手は判断した可能性もないわけではない。それはそれで極端な変な思い込みだ。
 勧誘の電話だとしたら、適当な番号にかけていて、こちらも最初に名乗らなかったから名前がわからず、勧誘だとすぐにばれることを避けるために適当な苗字を出してみた、という可能性もないわけではない。しかし、やはり上記のように、奥さんに替わるわけもなく、無意味だ。
 ひとつだけ確かなことは、どのような性格の電話であろうと、謝罪も何もなく無言のまま切ってしまうという人を不快にさせることを平気で行う、小さなテロリストめいた屑のようないい年の大人がいる、ということだけである。少し前に、いきなり電話をかけてくるのは非常識だ、という極端な主張が話題になっていたが、少しだけ共感できなくもない。

 追記。件の間違いもしくは勧誘の電話があった五日後の朝八時半頃、電話が鳴った。こんな時間にかかってくることなど滅多にないから、実家でなにかあったかと覚悟を決めつつ受話器を取る。すると電話ではなくファックスである。今どき誰が何の用で送ってくるのかと訝しんでいると、印字されたのは某商社からの発注書で、間違えての送信だった。用紙をよく見ると、本来の宛先の会社名に「宮坂」の名がある。先日の電話は宮村さんで今回は宮坂さん。何か関係があるのかと思ったが、そこに記載されている宮坂さんの電話とファックスの番号は異なるため、件の中高年女性による電話とは無関係だろう。とりあえずは某商社に間違えてますよと注意の電話を入れ、これについては解決した。
 それにしても、場合によっては一ヵ月間鳴ることもないようなうちの固定電話に、間を置かずに宮村さん宛の電話と宮坂さん宛のファックスが間違って来るというのは、どういうことだろう。

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