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月がとっても青いから [国語]

 月が綺麗ですね、と女性に語りかけるのは愛の告白だと夏目漱石が言った、という曖昧な雑学を確認しようとネット検索してみたら、新しい発見がふたつと、苦笑させられることがひとつあった。
 発見のひとつは、正しくは(というより元ネタは)月が綺麗云々ではなく「月がとっても青いなあ」というフレーズだったということで、もうひとつは、この話の根拠が不明確、つまり本当に漱石がこんなことを言ったのかどうか確実な証拠はないということだ。「にぐるたの物置」というサイトにまとめられていた検証によれば、今のところこの話を紹介しているのは1977年に書かれた豊田有恒のエッセイを遡ることはなく、漱石研究の専門家も事実確認できないらしい。
 そして苦笑させられたのは、SF作家によるこの創作もしくは誤解が次第に拡散し、それでも「と言われている」「らしい」と多くは推量の表現によって様々な場面で引用されている中、某脳科学者が断定的に紹介していることである(二つの文章に引用され、ひとつでは推量だが、もうひとつは断定で根拠が示されることはない)。
 そういえばこの脳科学者には、思い込みや偏見の発信による炎上が多い。おそらく専門とする研究においては合理的論理的思考を貫いているのだろうが、研究以外の場面では凡庸もしくはそれ以下だったりするわけだ。この人に限ったことではなく、あらゆる物事に対して常に論理的に思考している学者なんてほとんど漫画の世界にしかおらず、周りもそれを誤解して門外の分野についての意見を求め、当人も得々と語っていたりする。理系は論理的で文系は非論理的というネットでよく見られる決めつけもまた、まったく浅薄な思い込みにすぎない。

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