SSブログ

手水、てみず [国語]

 ヤフーニュースに、読み間違えやすい漢字についての短い記事があった。その記事に神社仏閣で手を清める「手水」が取り上げられ、これを「てみず」と読むのは恥ずかしい間違いで、正しくは「ちょうず」と読むのですよ、といったことが解説されていた。
 確かに「ちょうず」とは読むが、当の神社関係者の間では普通に「てみず」と読んでいる筈である。なんだかなあとコメント欄を見ると、さすがに「いや、てみずで間違ってないですよ」といった書き込みが並び、さほど特殊な読みではないと少し安心した。ネット検索すれば、すぐに「ちょうず」と「てみず」のどちらでも通用することが知られるというのに、いいかげんな記事だなと思っていたのだが、その記事には数冊の参考文献も掲げられている。
 一応は調べた上での記事ということになるが、結局は本よりもネット検索の方で正しい知識が得られるという例である。本に書かれているからといって正しいとは限らず、おそらく、その参考文献には手水を「ちょうず」と読むことだけしか記載されていなかったのだろう。手元にあるその手の本で確認しても、「手水場」の読みに「ちょうずば」としかなく、今この文章を書いている日本語入力ソフトでも「てみず」「てみずば」「てみずしゃ」「てみずや」といった言葉は登録されていない。
 手水は「ちょうず」と読む。それは正しい。したがって参考文献が間違っているわけではない。ただし、ひとつの言葉に対して深く掘り下げた解説がされているわけではないから、大部分は省略される。この言葉に限らず、たいていのことには、ひとつの意味や答えだけでない複雑で多岐にわたる背景があるわけで、辞書や解説本そしてもちろんウィキペディア等においても、確認する際には大部分の省略されている事実を「間違い」と思い込まないようにすることが肝要である。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

丁寧な反論細縁亀虫 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。