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もてなし [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその9】

 某スーパーにて。おばあさんが店員にある商品の場所を聞いたらしく、店員が「こちらにあります」と示してからのこと。商品はレトルトの「炊き込み御飯の素」。

おばあさん「ああ、これねえ」
店員「今はこれだけしか置いてなくて、申し訳ありません」
おばあさん「いえいえ、ありがとうございます。土曜日に孫が千葉から遊びに来るんですよ。だから炊き込み御飯を作ってあげようと思って」
店員「ああそうですか。それはいいですね」

 なんてこともない会話のように聞こえるのかもしれない。が、しみじみと、切ないというか、複雑な気分になった。孫が来るというので祖母が喜んで食事を用意しようとする場合、想像するのは、人参や牛蒡や鳥肉などを自ら調理した手料理であり、決してレトルトではないだろうからである。
 現代の家庭では、スーパーの惣菜やレトルト食品がそのまま食卓に上がることなど珍しくもないとはいえ、すでに祖父母の代が孫をもてなす際にそれが行われているという現実に、愕然としたのである。時代と感覚の推移は如何ともしがたいもので、いつの世にも「今どきの若者」に対する批判が起こることと同じなのだが、それでもこれが例外であって欲しいと思ってしまう。
 抱いた複雑な気分のなかに、自分自身の問題として、孫をもてなす楽しみを親に与えられず、自らも決して体験できないという現実に対しての侘びしさも色濃く漂っていることは、また別の話。

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