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祖先と神 [報道]

 NHKのニュース番組で伊勢神宮の「内宮は皇室の祖先の天照大神が祀られています」と説明されたことに対し、批判の声が挙がったらしい。確かに公共の電波では「祖先とされる天照大神」とするのが適切だろう。
 ただ、天照大神を祖先と言い切ったことを「現人神宣言か」と危険視するのは、無知ゆえか、もしくは意図的で強引な問題視といえる。神が祖先だからといって子孫も神と考えられるわけではなく、神を祖先としているのは天皇や皇室だけではないからである。藤原氏の祖先神は天児屋命、忌部氏の祖先神は天太玉命、安曇氏の祖先神は綿津見神など、基本的に日本人の祖先は、もちろん伝承や信仰の上では、神に行き着く。批判や懸念の根本がずれているのだ。
 元民放テレビディレクターで現某大学教授の水島という人が同じくこの報道の仕方を批判し、「断定するとは『事実だと認定する』ということ」で、「神話の世界の人を実在の人物であるかのように伝えるのはオカルトである」という。短い説明なので仕方ないのかもしれないが、この批判にも多少の引っかかりを感じる。皇室の祖が天照大神であるという伝承そのものの存在は事実であり、また祖先という概念を現実的に確定している人物のみとするか、より漠然とした「祖」をも含めるかは、必ずしも定まってはいないだろうからである。
 祖先ではなく「祖先神」と説明されていたならば、神という概念そのものが確定的な存在ではないために「とされる」といった表現と同等になると思われるが、それでもこの人は文句をつけただろう。「神話の世界の人を実在の人物であるかのように」という文章に見られるように、なぜか神を人に言い換えるというバイアスのかかった論証をしようとしていることから、そのように感じられる。天皇の祖先を天照大神という神であるとする伝承すら、決して認めたくないといった感情に基づいての言い換えと思われる。
 そして「オカルト」という指摘についても、適切ではないだろう。断定が報道として不適切なのは確かだが、確実に存在しているそのような伝承や信仰を指してオカルトという表現を用いるのは、直接的な貶めではないとしても不用意な表現といえよう。
 この人の記事中にはまた、「いろいろな説を主張する人がいる場合には断定的に表現しないのがニュース原稿の鉄則である」ともある。何かとあれば「諸説あります」と逃げ道を用意するのは最近の傾向とはいえ、これは嘘である。いちいち挙げないが、特定の問題に関してはいろんな意見を無視して断定的に報道している。
 なお、NHKという局はかつて、日本神話を題材にした場合の多くにおいて、大国主神のことはオオクニヌシノミコトとミコトをつけるが、天照大神はアマテラスと呼び捨てしていた。反保守の報道も目立ち、基本的には右派と中道が多少はいて、中軸にいるのは左派だと感じられる。左が少し右を向いただけで極右だ戦前回帰だファシズムだと青筋立てて騒ぎ立てる、いつものヒステリー的な騒動と何ら変わらない。

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