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綺羅星 [国語]

 最近、きらぼし銀行という名称の銀行が合併にともなって誕生している。どうしてこんな幼い名称にするのか個人的にはまったく理解できず、したがって機会があったとしても「こども銀行」めいた名の組織とお金を媒体とする関わりを持とうとは思わない。
 それはともかく、「きらぼし」という言葉が「きらきら光る星」という表現からの造語ではなく、綺羅星と表記されるものであるなら、それが語源に正しく則した言葉ではないということは今や割合と知られていることだろう。綺羅という綺麗な絹の衣装が星のようにある、という言葉が由来だから、綺羅星という一続きの単語ではないわけである。ただ、そのような本来とは異なる使用例は昔から見られるため、今では国語辞典にも「綺羅星」で載っていたりする。一所懸命を一生懸命と言っても、もはや間違いとは見なされないことと同じである。
 気を付けなければならないのは、ひところ「正しい日本語」ブームがあったけれども、無理解ゆえの誤用か、洒落としての意図的な誤用か、もしくは造語か、によって正誤の判断は分かれるということだ。綺羅星という語の発生が無理解によるのか意図的なのかはわからないが、この言葉にかかわらず、言葉の正誤を単純に決めつけることはできない。
 と同時に、誤用とはいえ定着しているから良し、という判断もあまり勧められたものではないと考える。言葉というものが時代とともに変化していくのは当たり前で、変化そのものは致し方ない。しかし言葉が同時代の間だけでなく世代を超えた相互理解においてもっとも重要な媒体であるからには、できるだけ保持に努めることがまた重要で、誤りだと知ったなら、その段階で改めるべきだろう。野放図に放置しての変化は、ただの堕落なのである。

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