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サザエさん批判記事 [雑感]

 アンパンマンに対しての不快感を二ヶ月ほど前に書いたが、先日、サザエさんに対して批判的なブログ記事が話題になっていたので読んでみた。常見陽平氏という労働社会学が専門の評論家による記事で、以下にカギ括弧内の引用は同氏のブログによる。
 アニメへの批判として似たようなものだ、と人の眼には映るのだろうが、自分としてはまったく違うとしか言いようがない。その違いについて、というより、かの記事の異様さについて述べてみる。
 不快感を表明していることそのものは同じである。しかしこちらの不快は、そこはかとなく醸し出される不安定な世界観(子供向けの絵でありながら安心感を得られにくいことなどを含む)の伝播が中心で、それはおそらく大人の目だからであり、子供は背後の不安定さなど気にも留めないことだろう。
 しかし、かの記事の批判はそんなものではない。最初にちょっと筋違いだろうと思える点を挙げておくと、「会社や学校に行きたくなくさせるあの破壊力はいかがなものか」というのは、単に曜日と時間帯の問題に過ぎないもので、「ファッションセンスもいまいち」というのも、あの絵柄へ寄せるべき批判点ではなかろう。では批判の核心は何かというと、「家族の枠組みが変わりつつある中、昭和の憧憬時代劇を流されても困る」というものである。
 ただしこれにしても、一見したところいったい何が困るのかさっぱりわからない。「昭和ノスタルジー時代劇に終止符を!」という表現も使っているのだが、そういったものが嫌いだというのはわかるとしても、そんなアニメが放映されることに何が「困る」のというのか。
 しかも、困るどころではないらしい。「SMAPも解散、安室も引退、平成も終わろうとしているのに、あの番組が続いてしまうことに、常に怒りを感じていた」とまで言っている。サザエさんが存続していることに対して「常に」感じている「怒り」は何かというと、どうやら「自立していない、甘えた人材だらけのアニメのどこが優れているのか、問い糾したい」という怒りらしい。
 サザエさんが主人公であるからには、この人はおそらく、家庭の主婦を「自立していない、甘えた人材」と見なしているのだろう。ノリスケは適当な性格のようだが自立していないわけではなく、他には大人で該当する人物は思いつかない。サザエ、フネ、タイコ、といった主婦の存在が時代遅れであるゆえに、嫌いで、問い糾したく、怒りを感じ、困る、というのである。まさか、カツオやワカメ、タラちゃんや中島君といった子供たちを自立していない甘えた人材と糾弾しているわけではないはずだ。
 まあ、注目を集めようとしてわざと激しい言葉を使っているということではあるのだろう。こちらがアンパンマンについて書いたものも多分にその傾向はある。しかし、社会はこうあるべきという理想を、その中身の是非については今はともかくとして、持っていることはわかるが、極端な表明には多少の異様さすら感じられて何だかなあと苦笑や失笑をせざるを得ないものだ。

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