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学歴と常識 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその5】

 もうずいぶんと昔、大学一年生のときの話。
 うちの学生はみな泳げなければならない、と余計なことを創立者が主張したため、一年の時だけ全員が水泳の授業を受けることになる。それで水泳パンツ姿でプールサイドにみなでぼんやり立っていたときのこと。
 近くには見知らぬ学生たちしかいなかったが、少し話をし、出身地を聞かれたので「○○県だ」と九州の県名を答えた。それからすぐに列で前に進むことになってプールサイドを歩いていると、前にいるその学生二人が次のような会話を始めた。

 学A「○○県って、四国だよな?」
 学B「んー、いや、九州じゃないかな?」
 学A「ええ、そうかあ? 四国じゃなかったかな」
 学B「たしか九州だよ」
 学A「ああそうか、九州かあ」

 前の学生二人はもう私との会話はしていないし、そのままで二人の会話は何事もなく終わったので、冗談を言っているような気配はまったくない。
 九州と四国に帰属する県を把握していない大学生。念のために書いておくが、決して底辺の大学ではない。というより、その対極にあると知られている大学の筈だ。
 やがて、内部進学者のなかにはまったく勉強していないのも多いらしく、授業について来られなくて留年する者のほとんどがエスカレーター式で大学生になった者たちだと知り、そういうことだったのかと納得した。一般教養の英語の教科書が平均的な学力の高校生でも読めるようなレベルで、何のための入試だったのかと不思議に思っていたのだが、そのわけも同時に了解した。内部進学者のための措置だったわけだ。そしてそれでも単位を落とす者がいる。
 内部進学者にはもちろんピンからキリまでいて、優秀な人間は当たり前にいるが、駄目なやつは学力以前の常識すらわきまえていないほど、とことん駄目なのである。しかし駄目でもたいていは卒業できるもので、しかも家が裕福だったりするからコネで会社にも入れる。かつて入社試験で名前を書いただけと噂される某著名人の息子が犯罪で捕まり話題となったが、経歴としては普通に大学を出て普通に社会人になっていたりする。
 また一般の入試試験とは違う形式で合否を決定する新たな学部もでき、その学部の学生や出身者の無知ぶりが次第に世間へと知られている現状のようでもある。内実を知らなければ学部別の事情や内部進学の事情を考慮することもなく、あの大学の出身者は世間一般の評価とは違って、実は馬鹿なんじゃないのか?と思うことだろう。
 内実を知っていても、九州と四国の県の区別ができない人間と同じ大学卒になっていることに対して、やはり納得いかない気持ちを抑えることは難しい。

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