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免罪符としてのテロップ [雑感]

 基本的に笑いというものは通常ではない事柄によって引き起こされる。したがって常識の範囲内では、強い笑いを呼び起こすことはない。笑いは「異常」によって起こるのである。
 笑いが好きなら、それを引き起こす異常に目くじらを立ててはいけない。もちろん程度にもよるが、極端に反社会的、極端に非常識でなければ、ある程度の異常は許される、と考える。
 その意味で、先日の某番組において、何匹もの金魚が人の頭の高さから床へと少量の水と共に落とされた場面は、不快ではあったが殊更に批判するつもりはない。傷を負った金魚もいただろうし、そうでなくとも相当のストレスとなっただろうが、確認するすべは無くあくまでも推測の領域である。
 ただ、そのこととは別に、何とも言えず不愉快な気分にさせられたものがある。それは落ちた金魚を回収している場面において、「金魚はすべてプールに回収しました」と出されたテロップである。
 こういうテロップを出しておけば大丈夫、という制作側の魂胆が丸見えで、批判をかわすためだけの措置に他ならないからだ。本当にすべてが回収されたのか、回収された後の金魚の状態はどのようなものかについては、視聴者は誰も確認できないことを知った上で、ただ批判されないためだけに出している。
 制作側が提供しているのは哀れな金魚の「事実」ではなく、自分たちのためだけの免罪符に過ぎない。
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